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■■   中国茶豆知識! テーマ『中国茶の淹れ方の誤解』     ■■
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日本人の中国茶への誤解の第一歩は“淹れ方”に尽きると思います。
テレビで中国茶の代名詞のように紹介される淹れ方。
小さい茶器を使って、茶壺(日本で言う急須)の上からお湯をかけて淹れるのをご覧になったことがあるかと思います。
この淹れ方を功夫茶(最近は茶芸とも呼ばれる)といいますが、このイメージが我々に中国茶の魅力を伝えるものであると同時に
一方では敬遠される原因にもなっています。
今回はそんな中国茶の淹れ方の誤解を解いていきたいと思います。


■功夫茶(=工夫茶)
中国語で “功夫”とは丁寧な技とか手間時間をかけてといった意味。
功夫茶はまさに文字通り丁寧に時間をかけて淹れるお茶の作法です。
実はこの淹れ方は烏龍茶を淹れる為の作法。烏龍茶以外のお茶ではこの作法は行いません。
しかし、ビジュアル的に華のある功夫茶は中国茶の淹れ方としてこれのみをメディアでは取り上げます。
また、中国とは違い烏龍茶のシェアが高い台湾の影響もあります。
台湾では輸出に頼りがちであったお茶の内需拡大の為に功夫茶を利用して台湾烏龍茶を広角的に宣伝しました。
近年、日本人若年層(特に女性)の台湾旅行が増加したことにより台湾経由で流入したことも大きな原因です。


■庶民的でない功夫茶
中国人はみんな功夫茶でお茶を淹れていると思っていませんか?
以前にもお話ししましたが、中国で烏龍茶を嗜む人は全人口の1割にも及びません。
殆どの人が日本と同じ緑茶を飲んでいるこの国では、功夫茶でお茶を淹れる人は殆どいないと考えるのが普通でしょう。
功夫茶を日本人の感覚的に説明をすると、 『日本人はみんな茶道でお茶を点てている』
と言われるようなものなのです。


■一般的な淹れ方
中国における一般的なお茶の淹れ方は、日本の煎茶と比較してもよりシンプルなもの。
茶を飲む器(耐熱ガラスのコップなど)に茶葉を入れ、お湯を注ぎ、茶葉が口に入らないよう沈むのを待って飲みます。
(中国にはもともと『茶こし』を使うという習慣がありませんので。)
また、蓋碗というフタ付きの茶碗で飲む方法もあります。
同じように蓋碗に茶葉を入れ、お湯を注ぎ、フタをします。
そして茶葉が口に入らないようフタを少しずらしてすすりながら飲みます。

一般的な家庭ではこれらのシンプルな方法でお茶と付き合っています。
茶こしを使いませんので日本人には適さない飲み方でしょう。
以前当店の実店舗でも現地に従ってこれらの飲み方でお茶を提供していましたが、大変不評でした(笑)!


■中国茶とシンプルに付き合おう!
確かに武夷岩茶や台湾高山茶などの烏龍茶は功夫茶で淹れると美味しいお茶が飲めます。
しかし、功夫茶だけが中国茶の愉しみ方ではありません。
日本茶と違って何杯も美味しく飲める中国茶はシンプルな淹れ方・飲み方でも十分美味しく長い時間楽しめます。
“日本茶を淹れる急須で淹れると美味しくない”
という声をよくお聞きするのですが、そんなことはありません。
使用する茶葉の量・淹れるお湯の量・抽出時間の3点を調整すれば功夫茶に準じた美味しいお茶が入ります。
当店の各銘柄のページには“淹れ方”掲載しておりますので参考にして頂き、ご自身の環境(お持ちの茶器・飲む方の人数)に合った適量を探してみてください。

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中国茶豆知識! テーマ『中国茶の淹れ方の誤解』いかがでしたか?
中国茶とはもっとシンプルな方法で付き合うものだと思っています。
あまり肩肘張らずに中国茶と付き合いたいですね。
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