中国茶の中でも一番奥の深いプーアール茶についてお話ししたいと思います。

プーアール茶はよくワインに似ていると言われます。似ているのは味じゃあありませんよ!
いわゆる『寝かせて』から飲むというところが、似ているのです。

そして、なぜダイエット茶なのか?
なぜ数ある中国茶の中でも健康茶と呼ばれるのか?
今日はこの辺を勉強して頂いてプーアール茶を身近なものに感じて頂きたいと思っております。

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■■     中国茶豆知識! テーマ『プーアール茶とは!?』     ■■
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黒茶の中の1つであるプーアール茶。
ダイエット茶としてよく登場しますが、それだけではない奥深いお茶です。
今回はその奥深い世界の入り口にご案内します。

●黒茶とは?
一般的に黒茶とは緑茶として一旦仕上げた茶葉に菌(微生物)の力で発酵を加えてから出荷する後発酵茶です。
名前の如く水色が濃い茶色で黒っぽいものが多くなっています。
紅茶や烏龍茶も“発酵茶”と呼ばれますが、これらは厳密には発酵ではなく酸化させたことを“発酵”と呼んでいます。
それに対して黒茶は、他の発酵食品と同様に菌(微生物)の力で発酵させていますので、本当の意味での発酵茶なのです。
ダイエットや健康に良いといわれるのも発酵食品であるからこそ、という訳です。

代表的なのはプーアール茶ですが、他に湖南省の茯磚茶や四川省の康磚茶などがあります。
黒茶の殆どの消費地はバター茶・ミルク茶として活用される中国西方の少数民族地域で、 古来より彼らの遊牧民族独特の肉食生活の栄養補給には欠かせないものとして、 現代に至るまで愛飲されています。

黒茶は他のお茶と違い年数を重ねるごとに味に深みを増していくという特徴があります。
また、長期保存しやすいという利点、また出荷されて移動中に茶葉同士の摩擦で傷まないなどの理由から黒茶においては固形茶(緊圧茶)に大変人気があります。


●プーアール茶とは?
雲南省を産地とする黒茶の代表格。
雲南の各茶産地から茶葉が集積するプーアールという土地の名前が茶名となりました。
ですからプーアール茶は全て雲南省産です。
中国では固形茶(緊圧茶)のほうが人気があり、2007年までのプーアール茶一大ブームでお茶というよりも財テク商品として大変な値上がりをしました。
一昔前までは国営工場のみで作られていましたが、現在は自由化され様々なメーカーが出てきています。
また、他の黒茶と違いプーアール茶には生茶と熟茶という2つの製法があります。
本来昔ながらのプーアール茶は生茶なのですが、熟成までに多くの年月を要するため1970年代から熟茶が開発されました。


生茶    緑茶をそのまま保存。茶色は薄く、渋み・酸味があります。
      製造後すぐに飲むことも可能ですが熟成には10年以上の年月を要します。

熟茶    茶葉に水をかけ菌(微生物)類の発酵を促します。
      茶色は濃茶で日本でもよく見かけるプーアール茶。
      製造後すぐに飲むことができます。長期熟成が更に望ましいことは生茶同様です。

日本ではプーアール茶といえば熟茶のほうが一般的です。
価格は生茶のほうが高く、年数を刻むごとにその差は広がっていきます。


●プーアール茶の種類

◎散茶
茶葉の状態のプーアール茶(固形でない)は散茶と呼ばれます。
香港の飲茶に供されるプーアール茶(広東語ではポーレー茶)は散茶です。
特徴としては固形茶と違い、崩して使う手間が無いということに尽きます。

◎餅茶
圓茶とも呼ばれる固形茶で一番人気のあるプーアール茶です。
7個で一纏めにして販売されたことから七子餅茶として知られています。
1つで357gの大餅茶の流通量が大半ですが、200gの小餅茶や100gのミニ餅茶もあります。

◎磚茶
長方形の固形茶で餅茶に比較すると低級の茶葉が使われることが多くなっています。
1つ250gのものが大半です。

◎沱茶
お碗型の比較的良い茶葉が使われることの多い固形茶です。
1つ100gのものと250gのものがあります。

◎小沱茶
沱茶を小さくした1回飲みきりサイズの便利なプーアール茶。
4~6gで紙に包まれているので1つ茶壷や蓋碗に入れてすぐに淹れられる便利なプーアール茶です。
難点は細かい茶葉が使われているケースが多いこと。
うまく淹れないと1~2煎目に濃いお茶が入り3煎目以降は極端に薄くなるということになります。
抽出時間の調整のコツを掴んで淹れてください。

※他にも正方形の『方茶』やキノコ型の『緊茶』などがあります。


●大益ブランドと中茶ブランド

雲南七子餅茶を見たことのある方は中茶ブランドに馴染みがあるのではないかと思います。
(↓中茶牌7572画像)
https://www.chachanet.com/data/chachanet/image/qizi-zhong2001.JPG

中央に8つの『中』という文字に囲まれて真ん中の『茶』という文字が配置されている
このマークは中茶牌(ブランド)の証です。
これは国営の「中国茶業土産進出口総公司」が輸出権を独占していた時代に、
同じく国営企業のメーカー(孟海茶廠・下関茶廠等)が中茶ブランドで餅茶を作ってきた名残です。
写真の餅茶は孟海茶廠で作られた中茶牌7572です。
7572は『茶号』といわれ、左から75年から作られた7級茶葉、2は孟海茶廠製造という意味です。
現在は孟海茶廠は自社で輸出・販売が可能となった為、中茶牌に替わり大益牌(ブランド)を自社ブランドとして売り出しています。

大益牌は現在のプーアール茶市場では人気ナンバーワンのトップブランドです。
(↓大益牌7572画像)
https://www.chachanet.com/data/chachanet/image/dayiqizibingcha7572-2012-1.jpg


●現地で買うプーアール茶

香港・中国・台湾などでお買い求めの際には茶葉のグレードや経過年数には細心の注意を払いましょう。
なぜならグレードや経過年数によって全く価格も価値も違うからです。
プーアール茶は緑茶がベースです。
緑茶は烏龍茶などと違い『茶葉が小さい』ものが、より優良です。
『葉』よりは『芽』のほうが価値が高いということです。

また、経過年数は新しいものを選ぶほうが得策です。
『古いものだ』と言って新しい茶葉を売りつける悪い店が絶えません。
多くの日本人は『プーアール茶を香港で買った』ことに満足してしまいがちです。
当店の実店舗でのお客様のお話を聞いていると明らかに高額なお買い物をされている方が多すぎます。

見極めることができない方には現地での茶葉の買い物はオススメしません。
どうしても買いたい!という方は、『茶葉が小さく2~3年物』をターゲットに、日本国内ショップでプーアール茶相場の予習をしてください。
そして必ず試飲して味を確かめてください。
プーアール茶を現地で買う場合、良いものを買おうとすればする程リスクが高くなることを忘れずに。


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中国茶豆知識! テーマ『プーアール茶とは!?』 いかがでしたか?
台湾に旅行に行ってプーアール茶を買ってきた人から『台湾産のプーアール茶は取り扱ってないんですか?』 という問い合わせをよく頂きます。
台湾で買ったから“台湾産”と信じ込まれているのでなかなか説得が大変です。(汗)
そんな方がいらっしゃれば今日の話しで少し理解を深めていただけたかなぁ、と思っています。
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